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今月のコラム 村上弘(2011年6月、2015年2月に1.を修正)   大阪都構想=大阪市廃止分割構想と、住民投票
      + 道州制について
 ―大阪市は、概要および賛成・反対の意見を広報すべきだ

1.大阪都構想(大阪市の廃止など)を住民投票だけで決めてよいか

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村上弘(行政学、地方自治論)

 私は(ロンドンに少し似た)大阪の街が好きなこともあって、数年前から大阪都構想[1]を研究してきました。

(以下、大阪都、都構想などと書きますが、それが実現しても大阪府は府のままなので、この名称は適切ではなく、むしろ「大阪市廃止分割構想」と併記すべきでしょう。)

 2015年春、賛成派と反対派の論争が、最終段階に近づいています。

 「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(2012年)によれば、大阪市を廃止分割し市の重要機能を府が吸収する「都構想」を実現するには、府会、市会、大阪市での住民投票の3段階それぞれで賛成多数が必要です。憲法改正に、衆議院、参議院での各3分の2と、国民投票での過半数の賛成が必要なのと似て、重要な自治制度を変えるためには幅広い合意と慎重さが必要だと、定めているわけです。

 ところが、大阪府会・市会は長い審議の後いったん都構想の設計図(協定書案)を否決しましたが、2014年末の衆院選での維新の党の踏みとどまりを見て、反対していた会派の1つが、「住民投票で決めるため議会では協定書案を可決する」という方針に転向しました。これは厳密には、法律の趣旨に反しています。つまり、上に書いたように、改憲手続きと同じで、議会・議員は専門家として主体的な判断をする責務があり、国民・住民投票に丸投げしてはならないのです。

 しかし、その会派がいわば審議権を放棄し(政治力に押されて放棄させられ)、住民投票に決定を委ねる可能性が高くなっています。

 ここで4つの問題が生じます。

(1)住民投票だけで決めてよいか。
(2)住民投票で、有権者が合理的に判断するためには、どうすればよいか。
(3)大阪市等は、内容を分かりやすく説明し、賛否の意見を広報する責務がある。
    ―「大都市地域における特別区の設置に関する法律」第7条に明記
(4)投票率を上げられるか。 
    ―「賛成できない」人も、棄権せずに投票に行ってほしい!

 

 都構想(大阪市廃止分割構想)は、とびきり複雑な制度変更です。おそらく消費税や原発の問題より、関係するファクターが多く、難解です。地方自治論、地方財政、都市政策を勉強しないと、よくわからない部分があるでしょう。したがって、議員が専門的に判断しない(1)は不適切です。どうしても住民投票だけで決める場合には、(2)有権者が複雑な制度変更とそのメリット、デメリットを十分理解できるようにしなければなりません。もし、単純化したポピュリズム(大衆扇動政治)[2]的な宣伝に流されるなら、住民投票による決定は大阪の将来に禍根を残すものになるでしょう。筆者の調査では、2011年の大阪市長・府知事選挙では、残念ながら、マスコミを含めそうした単純化現象が見られました [3b論文]。 

 今日、大阪都について次のような賛成論が聞かれます。
  A「府市の二重行政はムダなので、統合整理する。」
  B「大阪と東京の2つの大都市で日本を引っ張る。」
  C「大阪の発展のために、鉄道などインフラやカジノの建設を強力に進める。」
  D「大阪市は大きすぎるので、分割して住民に近い特別区にする。」
   「現在の区と違い、特別区は、区長も議会も住民が選挙できる。」
  E「民営化を含めて計算すると、効率化できる。」 
  
 それは一部に正しい指摘を含むかもしれませんが、違う視点からは、大阪都の問題点やデメリットも指摘されています。
  A「府市が持つ複数の施設が減らされ、二重の防災システムが消える。」
  B「大阪市廃止でその政策力が消え、大阪はむしろ衰退する。」
  C「カジノ建設は市民の意見が反映できなくなる。必要なインフラは府市の協力で。」
  D「特別区は都市整備、経済活性化などの力は弱い。重要政策は府が決定し、住民から遠くなる」
   「現在の24区役所から激減し、名前も東京の区と違って個性がなくなる。」
  E「市の行政機構が特別区に細分化され、非効率になる。」
 

 さらに、賛成派の主張を、大阪都(大阪市の廃止)でない方法で進める「代替案」が、議論されていないのはとてもおかしい。

 大阪市・府やマスコミは賛否両論を報道し、有権者は両方を知って考えることがたいせつです。かなりの努力が必要ですが。

 それに加えて、大阪都に関する次の重要事項は客観的なものなので、賛否の立場に関わらず認識し、説明・広報するべきです。

  1. 大阪府の名前は「都」にならず、府のまま。
    万一、法改正されて都になっても、権限・財源が増える実益はない。
  2. 大阪市は、廃止され消滅する。
  3. 大阪市の権限・財源・施設は、大きいものは府、小さなものは特別区へ。
  4. 先進国のパリ、リヨン、ミラノ、アムステルダム、バルセロナ、台北、横浜、名古屋などは、中心都市の市役所と、広域自治体(県や州)という二重の自治制度を持つ。(ソウル特別市、ロンドン市は広域自治体扱いだが、大阪府よりは狭い。ただし、モスクワ、上海のように広大な広域自治体に大都市行政を統合した国もある。)

 

 さて、この都構想と、別に議論されてきた道州制は、よく似た面があります。

 両者の共通点を理解するために、「自治体統合」という概念が役立つでしょう。平成の市町村合併とは異なり、すでに大型の広域自治体を再統合し、結果的に面積・人口で国際標準を超えた[3]巨大自治体を作ろうとする構想を、指しています。

 大型自治体の統合ゆえに、パワーは強くなっても、権力集中や内部の地域間格差(「州央集権」)などのデメリットも深刻になります。

 道州制論は2000年代に盛り上がり、自民党政権のもとで、国が上から全国を10程度の道州に区割りする案がまとめられました。しかし、廃止統合される府県の一部や合併を余儀なくされる町村からの反対もあり、2009年からの民主党政権は、道州制よりも地方分権を優先しました。自民党安倍政権下でも、道州制論はあまり進みません。推測ですが、道州制で府県や府庁・県庁を廃止すると「消滅自治体」の趨勢に拍車をかけるという不安があるでしょう。また、スコットランドやウクライナでの、特定の地域が国家から分離独立してしまいかねない事件からも、道州制が日本国の解体につながる危険が認識されはじめたのではないでしょうか。

 ★以上、詳しくはインターネット等で筆者の論説を検索してください。

 

2.自治体の規模拡大のメリット、デメリット

はたして、自治体の規模は大きければ大きいほど良いのか。グラフをもとに考えて見ましょう。

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 左は、道州制や大阪都の推進派の見方を図示したもので、自治体を統合し大型にすれば「改革」だというシンプルな主張です。政策能力と効率性の2つにだけ注目し、かつそれらが自治体の規模拡大とともにどんどん向上すると主張するのです。
 しかし、より多面的にバランスよく検討した右のグラフは、視野を広げて4つのファクターを示し、5本の線を描いています。

  1. 効率と規模の関係については、必ずしも比例せず、実証的な研究が必要です。
    統計資料を分析すると、効率は一定規模までは向上するが、それを超えると伸びないという結論が得られています。つまり、
    • 人口100万人程度の小さな県は効率が低いが、人口が200~300万人を超えると効率性の上昇は止まる[4]
    • 東京の都+特別区の制度のほうが、大阪府+大阪市(指定都市)の制度より効率が低い[5]
    いわゆる大阪府・市の「二重行政」も、需要に対応していれば問題なく、むしろ市民に便利です。大都市に複数のデパートが並ぶのと同じことです。たとえば、府立、市立の中央図書館はともに利用者が多く、かつそれぞれ一定の独自性を持っています。人口800万人の大都市圏に大型図書館が2つあるのは、非効率とはいえないでしょう。
  2. 政策能力は、超大型の投資以外は、人口100万人程度の府県や指定都市でもかなり対応できています。現状で可能な政策は、統合によって府県や指定都市が消滅し「政策エンジン」の数が減ると、かえって水準が全体として下がるでしょう。たとえば、京都では府は医科大学を、市は芸術大学を運営し、高い評価を得ています。大阪では、不足気味だった公園や住宅を、大阪市内と府下とで分担して整備してきたのです。
  3. 自治体の統合で、大阪市、堺市、あるいは旧府県の地域としての個性は弱まり、全体として多様性が失われます。新たな政策が実験される可能性も減り、知事の特定の考えが地域を一色に塗りつぶすことになるでしょう。
  4. 自治体の統合で、住民参加の可能性は小さくなります。道州制の場合、州内の「辺境」の地域から州都への時間距離は、東京への距離と大差なくなるでしょう。大阪都=府から見れば、大阪市は人口(つまり選出議員数)で3分の1以下、堺市はもっと小さく、それほど配慮の対象にはならないでしょう。基礎的な政策は特別区に分権化されますが、大阪市や堺市の重要政策は、不満があっても住民は選挙で争えなくなり、大阪都にお任せになります。
  5. 大阪都構想が実現すると、大阪市(と堺市?)が市役所という政策エンジンを失い、都市全体の魅力づくりや運営もできず(大阪都庁が面倒を見てくれるか?)、一定の衰退をするでしょう。
    道 州制では、州都になれない旧県庁所在都市と周辺地域の衰退が、より心配されます。県庁機構がおこなう政策、公務員の雇用・需要が失われるだけでなく、これ まで県単位で存在してきたマスコミ、地方銀行、教育・文化施設、専門職事務所などが統合廃止されうるからです。県庁から東京、海外への出張(それ自体はム ダな面もあるかもしれない)がなくなると、飛行機の便数も減るかもしれません。その結果、神戸、京都、千葉などのダメージは一定にとどまるとして も、大都市圏以外の旧県都が、政治機能と地域中心機能を失ってかなり衰退することは、間違いありません。次のグラフから見ると、大都市圏以外では、人口半 減という可能性も覚悟しておくべきです。大学を卒業して故郷に帰ろうとしても、州都以外では就職先が減ります。道州制には、効率化による「地方切り捨て」 の面があるのです。

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  6. 道州制論者が力説する州への大幅な地方分権は、評価が微妙です。
    すでに日本はかなりの分権化が進み、地方が望めば公共事業や原発を拒否できるし、逆に大型施設も作れる。「中央集権のまぼろし」を前提にして議論すべきではない。
    また、本当に国よりも州の方が良い政策をつくれるのか。州は、直接公選の長と弱い議会・政党の組み合わせで、大胆な変化は試みやすいが慎重な議論抜きの強行も起こる。そう考えると、国全体で議論するべき重要な政策(環境、労働基準、外国人労働者受け入れ基準、カジノの可否など)を州に分権することには、マイナスが大きく、また国の責任放棄にもなってしまいます。

3.自治体統合への代替案

 以上の研究紹介からお分かりのように、私は「自治体統合」には批判的です。批判だけでなく代替案を示さなければならないので、次のように提案しています。

  • 道州制に代えて―
    特定政策に関する府県の「広域連合」、あるいは
    全国を23州程度に分ける「中型道州制」[6]
  • 大阪都に代えて―
    大阪の成長戦略の推進や「二重行政」のうち不要な部分整理のために、大阪府、大阪市、堺市で常設の協議機関を作り、そこでの議論を公開する。
    大阪市、堺市を廃止することなしに、行政区の統合、行政区への一定の分権、住民参加を進める[7]
     

4.ポピュリズム(大衆扇動政治)を中和するために

 ポピュリズムの特徴は、「民意」(といっても有権者の5~6割)に選ばれた政治権力者が、リーダーシップを過度に強調し、公務員を統制し「敵」(反対派)を攻撃・威嚇する「権威主義」と、問題を単純化しウソも交えて人々の感情に訴える「非合理主義」にあります[2]
 「決定できる民主主義」になるという誉め方もありますが、「自由で冷静な議論を排除・抑圧する、民衆扇動主義」になる危険を忘れてはなりません。また、日本の政治行政機構が、都市整備、地方分権、福祉、文化、防災など多くの政策課題について、1歩ずつでも改善する「決定」を積み重ねてきたというのも、間違いありません。

 日本と同じくファシズムの独裁を経験したドイツでは、連邦政治教育センターが、「ポピュリズムとは、人々に近づき、自己の目的のために人々の感情、偏見、不安を利用し、政治的な問題に対して偽りの、単純かつ明快な解決を提示するような政治を言う」との定義を紹介しています[3b論文]


 権威主義や非合理主義は、先進国社会の一般的傾向には反するので、一定の工夫をすれば、防げる可能性があります。

  1. ポピュリズム政治の主張は単純で一方的なので、ある友人は「ちょっと考えたら分かることやのにね」と、苦笑いしていた。深くでなくても「ちょっと」考えて、友人と議論してみたい。
  2. 単純でうまい話には、ウラがあるという処世訓。
  3. マスコミは、「改革」についての記事に反対意見も載せるべきだ。とくにポピュリズム政治は、制度改革についてデメリットや、国際比較の資料を全く出さない傾向があることに注意。(たとえば、首相・大統領公選の国は独裁も多い。道州制は県庁所在都市と周辺を衰退させる、など。)
  4. マスコミは、重要争点についての世論調査で、「賛成ですか、反対ですか」と聞くだけでなく、「〇〇という賛成論と、××という反対論がありますが」と短い解説をつける方が思考させる。議論せずに、「賛成が多いから正しい」というのは、粗暴でかつ危ない。
  5. 政治家も、私たち市民も、ポピュリズム政治家のすぐれた弁論術から学ぼう。結論や意見だけではなく、1つか2つ、分かりやすい理由づけを断定的に述べるという習慣がたいせつだ。

 

5.ポピュリズム政治と大阪都構想

 民主主義社会での議論にはすべての人が参加すべきですが、その中で「**州をつくればオランダ並みの経済力になって繁栄する」「大阪府と大阪市の合併(実は吸収合併)で大阪を強くし日本を引っ張る」といった単純明快な主張を繰り返した側が勝つというのでは、合理的で有意義な改革とはいえません。けれども、こうしたポピュリズム(大衆迎合・扇動政治)の手法が、かなりの有権者をひきつける時代になっています。とくに、小泉首相の成功のあと、「敵」を設定してこれを叩くヒーローを演じる手法が、流行しています。
 マスコミ(とくにテレビ)の報道も、声が大きく弁舌巧みな政治家を優先させたり、どちらが勝つかという興味本位のものになりがちです。
 しかし、まじめに考えるなら、「改革」案のメリット、デメリットをしっかり予測し、さらに政治的意図を探ることが必要です。
 ほとんど知られていませんが、道州制論の背景に、実は衆議院で、かつて保守の1党優位を支えた中選挙区制を復活させようという思惑があるという可能性[8]は、かなり高いと考えられます。
 大阪都構想を熱心に推進する動機として、橋下氏は、「大阪のことは1人で決める」という権力集中(良く言えばリーダーシップ)の目的を公言してきました。都構想で大阪市を廃止すれば、その資産、土地、財源も府は無償で取得できます。とくに維新の会が熱心なカジノ建設は、住民の意見をまだしも反映しやすい大阪市が消去されれば、府が強行しやすくなるでしょう。(特別区は都市計画権限を持たない。)
 さらに、ポピュリズムの単純化を超えて、都構想を冷静に検討すると、つぎの「不都合な真実」つまり深刻なデメリットが見えてくるのです[9]。(ただし、堺市は今のところ「都構想」への参加を拒否している。)
  • 大阪都によって推進できる政策は数種類に限られる。地下鉄の郊外延伸は、採算性から難しい。なかには、橋下知事が唱えるカジノ建設、関空鉄道と接続する高価な地下鉄新線の建設(むしろ停車駅の多い既存JRの高速化を求めるべきだ)、WTCへの庁舎全面移転など、問題のある政策も多い。また、これまで大阪府と大阪市は協力分担してきた歴史があり、企業誘致のための特区設定なども、そうした協力で進められる。
  • 府と市の二重行政は、人口800万の大都市圏に十分サービスしている効用もあり、非効率と決めつけるわけにはいかない。需要を超えるようなムダな二重行政について、府と市の共同仕分け機構を作って検討すればよい。逆に、旧大阪市の住民サービス行政は5つの特別区に分割されて、スケールメリット(規模の経済)を失い非効率になる可能性がある。
  • 大阪都になると、大阪市、堺市という有力自治体が廃止され、良かれ悪しかれ強烈な知事の考えが大阪全体を支配することになる。民主主義に必要な多元性が失われる。
  • 大阪市と堺市は、地図から消え、その重要な権限・資産は都=府に吸収され、残りが特別区に配分される。2つの市は、「無力な分断都市」になり、都市全体の重要政策を自分で進める能力を失い、またそれを住民が決めること(自己決定)ができなくなる。
  • 欧米の大都市やソウル、台北は、中心都市を運営する都市自治体と、大都市圏に対応した広域自治体の2層構造をとり、役割分担している。先進国では、人口1000万、面積2000平方キロ近い広域自治体が都市自治体を兼務する大阪都構想のような制度は、1943年に戦争遂行のために東京市を廃止し府が吸収した東京都以外には見つからない。

 ポピュリズム政治のもとでは、(もちろん反対派の情報発信の弱さにも責任がありますが、)上のような情報・論点が隠され、議論が一面的になりがちです。微力ながら専門家の1人として、「改革」構想の意図と結果を多面的に検討し、分かりやすくマスコミや社会に情報発信する仕事を進めていきたいと考えています。

6.その他の研究

 なお、この約10年間に上記以外のテーマとして、京都市政の研究[10]や、中心市街地の整備と活性化のためのLRTや歩行者空間の整備、日本とドイツの地方議会の比較、スイスの住民投票など[11]を取り上げ、地方自治体とそれが進める政策について幅広く研究してきました。関心のある方は、ご一読ください。
 

[1]
澤井勝・村上弘ほか『大阪都構想Q&Aと資料 ― 大阪・堺が無力な「分断都市」になる』公人社、2011年
[2]
「「大阪都」の基礎研究 ― 橋下知事による大阪市の廃止構想」『立命館法学』2010年3号、p.296-317
[3]
道州制で生まれる州が巨大すぎることと、その「州央集権」などのデメリットについては、『日本政治ガイドブック』法律文化社、2014年、10章、「道州制と代替案」『行政管理研究』No.130、2010年
[3b]
この選挙で、維新の会は6割弱、反対派(民主・自民・共産)は4割強の票を得た。しかし、大阪都に関する情報の不足と偏りは深刻で、たとえば、選管発行の「選挙公報」を見ると、市長選挙の橋下候補は、「One Osaka!二重行政を抜本的に解消」「強い「大阪都」の実現」としか書かない。知事選挙の松井候補は「大阪都構想を実現します。大阪都に広域行政を一元化。二重行政を解消・・・危機管理体制を一元化・・・」としか書かない。この説明を読んで、大阪都になれば大阪・堺市が廃止分割され、地名と政策力を失い、重要権限・大型施設が都に吸い上げられ、知事に権力が過度に集中するという事実を理解できる有権者が、いったいどれほどいただろうか。詳しくは、村上「大阪都構想(大阪市・堺市廃止)の極端化に新聞はどう対応したか ― 「府」の名称のままの柔軟な改革を検討する」(『立命館法学』2011年5・6号、p.536-599)を参照。
[4]
村上弘・佐藤満編『よくわかる行政学』ミネルヴァ書房、2009年、p.225
[5]
「大阪都構想 ― メリット、デメリット、論点を考える」『立命館法学』2011年1号、資料D
[6]
注3(「道州制と代替案」)および「道州制は巨大州の夢を見るか ― 22州案を含む道州制モデルの比較検討」『立命館法学』2007年5号
[7]
注5
[8]
「道州制は中選挙区制と原発の夢を見るか」『立命館法学』2009年2号、p.94-98
[9]
注2、注5
[10]
村上弘・田尾雅夫・佐藤満編『京都市政 公共経営と政策研究』法律文化社、2007年
[11]
『日本の地方自治と都市政策 ― ドイツ、スイスとの比較』法律文化社、2003年
*自著に限って記しました。

村上弘(行政学、地方自治論)

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